大腸がんとは
大腸がんとは、大腸粘膜から生じた悪性腫瘍のことで、S状結腸や直腸に好発します。
大腸がんは、罹患数・死亡数ともに年々増加しています。最新の統計では、1年間に約15万人が大腸がんと診断され、5万人が亡くなっています。男女を合わせた罹患数はすべてのがんの中で第1位、死亡数に関しては男性で第2位、女性では第1位です。大腸がんは、一言で説明できる原因はありません。しかし生活習慣が発症に関与していることが分かっており、糖尿病などの生活習慣病、喫煙、肥満、加齢などが発症のリスクとなります。
大腸がんは早期発見できれば内視鏡による負担の少ない切除手術で完治が期待できます。また、ほとんどすべての大腸がんは、大腸ポリープが成長することで発生しますので、大腸ポリープを切除することが将来の大腸がん予防のために非常に重要なのです。大腸ポリープや早期の大腸がんは症状を起こすことがほとんどなく、早期発見には症状がない段階から定期的に大腸カメラ検査を受けることが必要です。大腸ポリープの発生が増えはじめる40歳を超えたら定期的な大腸カメラ検査を受けましょう。
当院では、FUJIFILM社製の最新式内視鏡システム「ELUXEO8000」を文京区内最速で導入しました。これにより、従来よりも精度の高い検査が可能で、微細な大腸がんの早期発見にも非常に有効です。大腸カメラ検査中に発見された大腸ポリープは、その場で切除することで、将来の大腸がん発症を予防します。当院では、内視鏡検査・治療の経験豊富な女性の専門医が、患者様一人一人のご不安な気持ちや、「恥ずかしい」という気持ちに配慮しながら、安全を第一に考えた負担の少ない大腸カメラ検査を行っています。ご希望に応じて鎮静剤を使用して眠ったような状態での検査や、従来よりも少ない量の下剤でできる前処置もご提案可能です。大腸カメラ検査のことなら、当院で何でもご相談ください。
症状
早期には症状を起こすことがほとんどなく、進行することで血便、狭窄による便秘や下痢、腹部膨満感などの症状を起こします。
血便
便が大腸の中を通過する時に、大腸がんの表面を傷付けると出血が起きることがあります。血液の付着した便、赤黒い便などの症状が現れます。便潜血検査は微量の出血でも確認できますが、出血が起こらないケースでは陰性になります。大腸がんを持っている方が便潜血検査を受けた場合、陽性にならないケースが約半数あるとも言われています。40歳を越えたら、一度は大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。
便秘・下痢・腹部膨満感
大腸がんや大腸ポリープは時間をかけて大きくなり、それによって腸管が狭窄して便の通過が妨げられます。狭窄があると便が細くなり、便秘や下痢などを起こすようになります。便が通過できないほど大きくなると腸閉塞を起こすこともあります。吐き気や嘔吐、腹痛、膨満感などがある場合は腸閉塞が疑われ、腸管の穿孔を起こす危険な状態になる可能性があります。
原因
大腸がんのほとんどが、大腸ポリープが大きく成長することで発生します。大腸ポリープのサイズが大きくなるに連れてがん化する確率は上がります。大腸がんは、一言で説明できる分かりやすい原因はありません。生活習慣が発症に関与していると考えられており、糖尿病などの生活習慣病、肥満、喫煙や飲酒などは大腸がんのリスクとなります。また、加工肉(ハム、ソーセージなど)や赤身肉の過剰摂取もリスク要因として指摘されています。また、大腸がん発症には遺伝の関与もあるとされています。リンチ症候群や家族性大腸ポリポーシスなどが知られています。若くして大腸がん、子宮体癌、胃がん、腎盂・尿管がんなどに罹患されたご家族がいらっしゃる場合は、20~25歳頃の大腸カメラ検査をおすすめします。
詳しくは当院にてご相談ください。
年齢から考える大腸がん発生と効果的な予防
大腸ポリープは40歳を超えた頃に発症率が増え、大腸がんは50歳を超えると発症率が増加します。10年のタイムラグがあるのは、大腸がんの多くが放置された大腸ポリープから時間をかけて発生することを示唆しています。40歳を超えたら大腸カメラ検査を受け、発見された大腸ポリープを切除すること、定期的に大腸カメラ検査を受けることは、大腸がん予防のために何より重要です。
また、大腸がんは生活習慣が発症に関与しています。日光に当たって適度な運動を習慣とし、肥満や生活習慣病を予防すること、食物繊維を摂取すること、加工肉などを避けることは大腸がん予防に繋がります。しかし、生活習慣病のない方でも、加工肉を召し上がる習慣のない方でも、大腸がんになる方はたくさんいらっしゃいます。繰り返しになりますが、定期的な大腸カメラ検査を受け、がんになる前に大腸ポリープを切除することが、大腸がん予防では最も重要です。
検査
大腸カメラ検査は、微細な早期大腸がんの発見が可能で、前がん病変の大腸ポリープ切除をその場で行うことができる唯一の方法です。大腸の病変を詳細に観察し、組織を採取して病理検査を行うことで多くの疾患の確定診断が可能になります。出血がある場合には検査中に止血処置も可能です。内視鏡で大腸がんの確定診断がついた後は、CT検査などでがんの広がりの程度を調べて、がんのステージを決定し、治療方針を決めていきます。
治療
がんが大腸粘膜内にとどまっていれば、内視鏡による治療で完治することが可能です。病理検査で問題がなければ手術後は経過観察だけで十分ですが、一度大腸がんができた場合は、大腸の他の場所にもまた大腸がんができる可能性があるため、定期的な大腸カメラ検査が必要です
大腸がんが深く浸潤している場合には外科手術が必要になります。現在は、患者様の身体への負担が少ない腹腔鏡下手術やロボット手術などが開発されています。大腸がんが他の臓器に転移している場合は状態に合わせて、手術、抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬による薬物療法などから必要な治療を組み合わせて行います。